派遣員 ホノルル総 吉澤妃織さん
米国・ハワイ州

一般事情
一般事情
面積:16,634 ㎢ (東京都の約7.6倍)(全米47位)
人口:1,435,138人 (全米40位)(2023年国勢調査局)
人種別割合:白人43.9%、フィリピン系25.5%、ハワイ先住民系22.8%、日系20.8%、中国系16.5%、黒人・アフリカ系4.0%、韓国系3.2%
注:複数の人種に属しているとの回答を含む。(2023年ハワイ州データブック掲載データより算出)
州都:Honolulu
愛称:The Aloha State
在ホノルル日本国総領事館HPより

プロフィール
氏名 :吉澤妃織さん
赴任公館:在ホノルル日本国総領事館
職種 :派遣員
在職期間:2022年9月~2024年9月
*ご赴任前は何をされていましたか?簡単に教えてください。
大学に在籍し、学業とアルバイトに励んでいました。
*帰国後のご状況を教えてください。
大学に復学し、就職活動中です。
*派遣員制度はどのようにお知りになりましたか?
当時現役派遣員の知人から話を聞き、この制度を知りました。
*派遣員を希望した理由は何ですか?
新型コロナウイルスは、私の学生生活に大きな影響を与えました。大学在籍中に、必ず留学や旅行で様々な国に渡航し、異文化に触れることで視野を広げたいという目標がありました。しかし、目標を達成するどころか、授業はすべてオンラインとなり通学すらできず、感染拡大が収束しつつあった大学2年次に、やっとの思いでつかんだ留学のチャンスも渡航直前で中止となり、実現することはできませんでした。
思い描いていた学生生活とは全く異なる状況で、目標達成せずに就職活動に進むことはできないと強く感じ、模索する中、当時現役派遣員の知人から在外公館派遣員制度について話を聞き、この制度の存在を知りました。海外で社会人経験を積みながら、掲げていた目標も達成できるこの制度に強く惹かれ、志望を決意しました。
ハワイと日本は歴史的に深い結びつきがあり、現在の州人口約20%を日系人が占めています。また、日系移民の歴史だけでなく、友好親善や経済・文化的な交流を促進してきた、日米友好の象徴的な地域でもあります。このような場所で、留学経験で培った語学力を生かし、両国の関係強化を促進するための縁の下の力持ちとして貢献したいと考え、在ホノルル日本国総領事館への派遣を希望しました。
*担当事項・業務内容等、実際に現地でされていたお仕事について教えてください。
主担当として行っていた業務は、総務班員として公用出張者が来訪する際の出入国支援やホテル予約、配車手配等で、出張者がホノルルでの業務を円滑に進めることができるように調整交渉を行っていました。
ハワイには、在日米軍を含め、米西海岸からインド洋までを管轄するインド太平洋軍司令部が所在し、陸海空自衛隊との合同演習や会議が多数行われる等、日米の安全保障協力を強化するための交流が活発に行われています。そのため、任期中は防衛大臣をはじめとする2度の大型ロジ、そのほかにも多数要人のロジに携わりました。外交活動の現場を支える貴重な役割を担うことができたことは非常に光栄であり、この経験は私にとって大きな自信となりました。
便宜供与に関する業務以外にも、官房班員として多種多様な業務を行っていました。例えば、館員の離着任支援、公用貨物の税関手続き、航空券手配、会計補助、翻訳、HP運用等の庶務全般、配車や職員運転手のマネジメントです。各業務において、正確かつ迅速な対応を心がけ、館員や現地職員が業務を滞りなく進められるようサポートを行っていました。
このように様々な業務を担当していましたが、その中でも特に大変だった業務は、出入国支援です。これは、派遣員が各関係者と総領事館の連絡窓口として、国務省や航空会社、空港担当官に支援を仰ぎ、綿密な事前準備を行う必要があるからです。各関係者に出張者情報や当日のスケジュールなどを正確に伝達し、相互認識にズレがないように直前まで調整を行いますが、急遽の予定変更や追加依頼が発生する場合もあります。その際には、限られた時間の中で迅速に情報を整理し、関係者間の連携を円滑に行うことを最優先事項として対応しました。
苦労した分、出張者の飛行機が確実に離陸したことを確認したときには、言葉では言い表せないほどの達成感とやりがいを感じ、すべてのロジ関係者と喜びを共有したその瞬間は今でも鮮明に覚えています。
*実際に経験されて、派遣員の魅力はどんなところだと思いますか?
派遣員の魅力は、大きく分けて二つあります。
一つ目は、外交活動の現場を支える一員として活躍ができることです。着任して二週間、ようやく生活立ち上げがひと段落した頃に経験した防衛大臣ロジで、その魅力を身に染みて実感しました。引継書だけを頼りに各種調整を行い、背負う責任の多さに圧倒された初めての大仕事でしたが、空港担当官や航空会社の方々と計画した通りに空港でのオペレーションを無事終えたときに得られるやりがいは、派遣員の魅力の一つだと思います。防衛大臣が御帰国される際に航空会社のラウンジにて大臣直々に有難いお言葉をいただいた時は、身に余る思いで胸がいっぱいになりました。
二つ目は、たくさんの方々との出会いです。私がホノルルでの任期を全うできたのは、館員・現地職員の皆様、空港や航空会社、ホテルなど関わったすべての方からの支えがあったからに他なりません。着任当初は、メール一本返したり、電話が鳴ったりするたびに、恐る恐る対応する日々でしたが、館員・現地職員の皆様が私の力を信じて基礎から育ててくださったお陰で、社会人としてだけでなく、人としても大きく成長することができました。仕事以外のことでもいつでも誰かに相談できる環境があったり、休日にはBBQをしたりマラソン大会に一緒に参加したりと、公私ともに充実した生活を過ごすことができました。
また、空港担当官との専門用語を含むコミュニケーションが一番の不安要素でしたが、そんな不安が一瞬で吹き飛ぶほど明るく、ポジティブでフレンドリーな方ばかりでした。繁忙期には一週間に5回以上空港へ行くこともあり、空港担当官の方々には大変お世話になりました。ユーモアあふれるハワイの方々と共に仕事ができることも、派遣員の魅力の一つです。
ハワイでアロハ・スピリッツあふれる様々な方と出会い、派遣員として仕事ができたことは、私にとって人生の大きな財産です。

*今後の目標やキャリアプランは?
今後は、ヒトやモノの移動に携わる仕事に従事し、人々の生活を支える人材として活躍したいです。派遣員の業務を通して、空港や航空会社の方々と仕事を共にするなかで、様々な思いをつなぐ航空機や空港に興味を抱き、それに関連する仕事に就きたいと考えました。前述のように、任期中はたくさんの方々に支えていただきました。そのため、今度は私が誰かを支える立場となり社会貢献し、何らかの形でお世話になったハワイに恩返しをすることを目標の一つとしています。

派遣員を目指す方へメッセージをお願いします。
こうして振り返ってみると楽しい思い出ばかりのように感じますが、初めての社会人経験で気持ちが沈んでしまったり、理想と現実のギャップに苦しんだり、2年間の派遣員生活の中でたくさんの挫折を経験しました。ですが、今こうして「人生の中で本当に貴重な経験をした!」と思えるのは、苦しい状況こそポジティブに捉え、その逆境を成長の糧に変えることができたからだと思います。2年間の派遣員生活は、自分自身の成長を実感できる機会であり、必ず人生にとって大きな財産になると確信しています。2年間は長いようであっという間です。仕事中心にならず、ぜひ赴任先の文化や生活を最大限に楽しんで、その土地ならではの魅力に触れながら、仕事もプライベートもより充実した派遣員生活を送ることができるよう突き進んでください!
長い文章となりましたが、皆さんのご活躍を心から応援しています。