OB・OGメッセージ

専門調査員 東ティモール大 Y・Hさん

東ティモール

一般事情

面積:約1万4,900平方キロメートル(首都4都県(東京、千葉、埼玉、神奈川)の合計面積とほぼ同じ大きさ)
人口:約134万人(出典:東ティモール国勢調査(2022年))
首都:ディリ
民族:メラネシア系とパプア系が大部分を占める。その他マレー系、中華系等、ポルトガル系を主体とする欧州系及びその混血等。
言語:公用語は、テトゥン語及びポルトガル語。実用語に、インドネシア語及び英語。その他30以上の地方言語が使用されている。
宗教:キリスト教99.1%(大半がカトリック)、イスラム教0.79%
                                   外務省HPより

選挙監視団として国民議会選挙における投票状況の監視を実施

プロフィール

氏名  :Y・Hさん
赴任公館:在東ティモール日本国大使館
職種  :専門調査員
在職期間:2016年5月~2019年5月

*専門調査員になるまでの経歴、専門
大学院にて開発協力、特に紛争配慮への取り組みについて論文を執筆して修士号を取得した後、日本のNGOにて東ティモール駐在員として約4年間ほど勤務し、在東ティモール日本大使館の専門調査員に応募しました。

*専門調査員を希望した動機、期待していたこと
専門調査員試験の公募が出た時点で、NGOにて既に約4年間東ティモールで勤務していたため、現地の事情を把握しており、かつ、現地の公用語でもあるテトゥン語を話すことができたことから、これらの知識を新しい環境で役立てたいと思い応募しました。試験後に派遣が決定した際には期待というよりは、大使館というこれまで勤務してきた勤務先とは全く異なる組織の中でうまくやっていけるのかという不安のほうが大きかったと記憶しています。しかし、実際派遣されてみると直属の上司や館員から非常に丁寧な指導をいただき、人間関係に非常に恵まれた環境で業務にとりかかることができました。

*実際の職務内容
職務は大きく二つに分かれていて、一つは経済業務といって東ティモールの経済について情報収集を行いました。例えばGDP等のマクロ指標のデータを更新したり、日本企業支援のために現地の入管法や社会保障法などの法令を調査して報告を行いました。私は現地語が話せることもあり、積極的に先方政府の関係者に面会したり、関連資料を読みこんだりして情報をまとめると同時にホームページの更新を進め、積極的に情報発信を行いました。

東ティモールは2002年に独立を回復した新しい国であるため、どんどんと新しい法律が制定され制度変更が起きる一方で、制度変更が事前に十分周知されないままに行われることもあり、法令に関する情報収集は重要な業務の一つでありました。

もう一つの業務は開発協力業務にあたり、東ティモールで実施されている政府開発援助(ODA)に関する業務となります。基本的には私の上司にあたる書記官の補佐を行うことになるのですが、日本のNGOに資金を供与するNGO連携無償については、主担当者として日本のNGOの方々と一緒に年間4~5案件ほどの案件を管理するとともに1~2件の新規案件の形成を行いました。また、国連機関に資金を供与する国際機関連携無償も一部担当させていただき、国連機関であるUNICEF、UNESCO、UNDP及びUN Womenの方々とプロジェクトを実施しました。そのほかにも草の根連携無償資金協力等も含めて様々な業務に携わらせていただきました。

業務量としては経済と開発協力が3:7の割合でした。東ティモールは途上国ということもあり、ODA案件が多くあり、毎日の業務は開発協力業務に費やされ、空いた時間に経済業務を行っておりました。

*専門調査員後の仕事、将来について
私は、2019年5月に任期を終えてからは故郷に戻り、実家の農業の手伝いをしたり妻と子どもと一緒の時間を過ごしています。専門調査員の多くの方々は任期終了後に次の仕事に就かれていると思うのですが、私の場合は任期中に結婚と子どもの誕生等、人生の転機となる出来事が多くあった半面、家族と過ごす時間をあまり作れなかったことからしばらくの間家族とゆっくり過ごしたいと思っています。子どもが1歳3か月となり、日々成長していく姿を楽しく見守りつつ、妻と今後の人生についてゆっくり話をする時間があり、充実した時間を過ごしています。

今後のキャリアとしては、これまでの経験を活かして途上国の発展に貢献できるような分野でキャリアを構築していき、ゆくゆくは故郷の発展にも貢献できるような人材になりたいと思っています。

*受験を考えている方へのメッセージ
専門調査員の仕事は大使館という対外的に信用のある機関において業務を実施するため、NGOに勤務していた時と比較して非常に業務遂行が容易でした。情報収集を行う際にも、NGO勤務の際には、NGOの活動やミッションを説明してかつ情報の利用目的等を非常に細かに説明する必要があり、また、それでも話を聞いてくれない方々も多くいました。一方で、専門調査員として勤務している間は、「日本大使館から来ました」と伝えるだけで相手の信用を得ることができた点は非常に印象深く、信用のある立場を用いて自分の能力を存分に生かせる職務だと思います。

また、私の場合は小さい公館に派遣されたこともあり、無償資金協力に係る政府間の調整や日本政府高官の来訪に係る事前準備などで中心的な役割を担わせてもらうなど、非常に貴重な経験をさせていただきました。また、館員の方も非常に親切で公私ともに非常に恵まれた3年間を過ごすことができました。

専門調査員には政務、広報文化、開発協力などの様々な分野で募集がなされていますが、私は開発協力を管轄する班に配属されたこともあり、相手国政府のニーズに合わせて案件を形成することができました。相手国政府や現地のNGOと話をしながら現地のニーズを把握して、それに対処する案件を形成していく過程では様々な調整が発生して骨が折れる作業でもありますが、案件が始まったり、終了した際には多くの人々から感謝されることもあり、やりがいと達成感を感じた3年間でした。是非とも開発協力の分野にも多くの方が応募されることを望んでおります。

上部へスクロール