派遣員 アルジェリア大 北原たまきさん
アルジェリア民主人民共和国

一般事情
アルジェリア民主人民共和国
面積:238万平方キロメートル(内、砂漠地帯約200万平方キロメートル)(アフリカ第1位)
人口:4,681万人(2024年、世界銀行)
首都:アルジェ
民族:アラブ人(74%)、ベルベル人(25%)、その他(1%)
公用語:アラビア語(国語、公用語)、ベルベル語(国語、公用語)、フランス語(国民の間で広く用いられている)
宗教:イスラム教
外務省HPより

プロフィール
氏 名:北原 たまきさん
赴任公館:在アルジェリア日本国大使館
職 種:派遣員
在職期間:2022年5月~2024年3月
*ご赴任前は何をされていましたか?簡単に教えてください。
大学ではフランス語文学を専攻し、卒業後は約3年間人材系の民間企業で勤務していました。主に公共事業の働き方改革関連のプロジェクトマネジメントや企業の業務改善のコンサルティングを行っていました。
*帰国後のご状況を教えてください。
派遣員の任期満了後は、イギリスの大学院(The London School of Economics and Political Science)で人事資源管理の修士(MSc Human Resources and Organisations)に在籍していました。
*派遣員制度はどのようにお知りになりましたか?
派遣員の制度は、知人で他のフランス語圏地域の公館に社会人で派遣されていた方がおり、その方の体験談を伺って初めて知りました。
*派遣員を希望した理由は何ですか?
新卒で就職先を選ぶ際にも、「海外でフランス語を使った仕事をいつかしてみたい」という気持ちはあったものの、その軸だけで就職先を狭めてしまうことに躊躇いがありました。そのため、新卒では元々興味のあった、「働く人一人ひとりの個性を重んじながら、一歩踏み出してチャレンジできる組織づくりをしたい」という点に焦点を当てて就職をし、環境にも恵まれ仕事をしていました。当時は、フランス語を使うという点に関しては、3年間働いてみても尚挑戦したい気持ちが残っていたらその時に改めて考え直してみようと密かに決めていました。
社会人3年目の後半になって改めて自分自身が何をしてみたいか問い直した際に、フランス語を使って海外で仕事をしたいという気持ちが変わらず冷めなかったこと、公的機関で外交の場を垣間見てみたいと考えたことから、「やらずに後悔するよりも、目の前の機会に挑戦してみよう」と思い派遣員に応募しました。
*担当事項・業務内容等、実際に現地でされていたお仕事について教えてください。
最初の半年ほどは、出張者対応等の便宜供与・会計業務の補助や庶務を行いました。現地職員の方も多く所属する部署だったため、職務歴の長い職員の方々のやり方やコミュニケーションの仕方を観察しつつ、なるべく効率的かつ円滑に業務ができるように試行錯誤するマネジメント的なこともしていました。
その後は、日本文化関連の行事や儀典等のイベントの運営補助や、広報等の業務など幅広くチャレンジする機会に恵まれました。また、ちょうど赴任した年が、隣国チュニジアでのTICAD8の開催年だったこともあり、現地へ出張し開催を裏側から支える経験も積むことができました。


*実際に経験されて、派遣員の魅力はどんなところだと思いますか?
「これまで培ってきた語学を活かし、新しい世界や人との出会いが広がること」ではないかと思います。派遣員の仕事は、赴任先の公館で官務を円滑に進めるため、縁の下の力持ちとして実に多様な業務に携わることになります。その中には、表舞台の華やかさだけでなく、地道に積み重ねていく作業や、想定外の事態への対応も含まれます。
私の場合はフランス語をはじめとした言語を用いながら、本官や現地職員の方々の協力を得て同じゴールに向かって進める中で、それまで持ち合わせていなかった知識やアルジェリアの文化的背景を学ぶことができました。単に語学を活用するという枠を超え、派遣員としての多岐にわたる業務を通じて得られたことは大きな収穫でした。外交の現場を裏側から垣間見て、大使館員の皆さんをはじめとする現地での多くの方々との出会いを通じて、様々な視点からアルジェリアという国や人々の奥深さや優しさに触れられたことは、派遣員だからこそ得られる魅力だと思います。
*今後の目標やキャリアプランをお聞かせください。
大学院終了後は、組織・人材開発関連のコンサルティングを民間企業で行う予定です。派遣員を通じて、異なる文化バックグラウンドを持つ人たちと協働し同じ目標を目指すことの難しさと面白さ、そして官民それぞれでの働き方の違いや課題に対してより深く興味を持ったことが、大学院へ進学する決め手の一つとなりました。派遣員で得られた経験を活かして、将来的には国の枠を超えて多くの組織や人々に対する働く事にまつわる課題を解決したり、大学院で学んだ内容をより深めて学習することを通じたりしながら、関連する知識と経験を養っていきたいと考えています。
*派遣員を目指す方へメッセージをお願いします。
社会人経験を経て派遣員へ応募する際に、私自身は「派遣員に挑戦すべきなのか」という迷いや自身の中での葛藤も少なからずありました。今振り返ってみると、私個人としては自分の長年挑戦してみたかった夢を、アルジェリアというこれまで馴染みのない土地で2年間働いたことで得られた経験は当初の想像以上のものがあり、結果として派遣員に挑戦して良かったと思えています。
応募のきっかけは人それぞれだと思いますが、「なぜ挑戦したいのか」「先を見据えた際にどのようなことに興味があり挑戦したいのか」を、ぜひ時間をかけて言語化してみてください。私自身も実感したように、派遣員としての経験やそこで得られるつながりは、ご自身の視野を広げて、次なる一歩を後押ししてくれる機会になるはずです。挑戦する過程では大変なこともあると思いますが、これから派遣員への道に踏み出される皆さんのチャレンジを、心から応援しています。