雑誌インタビュー
『国際協力キャリアガイド 2024-25』
世界をつなぐ仕事:在外公館で働く
-学びやチャンスの多い環境。多角的に派遣国を理解できます。

JICA専門家 平田民子さん
派遣先:在タンザニア大使館
2015年5月~2018年5月
南スーダンで主権者教育に挑む
昨年10月からJICA専門家として南スーダンに赴任し、同国の選挙管理委員会能力強化アドバイザーを務めています。南スーダンは内戦を経験し、 2011年に独立した新しい国。カウンターパートの選挙管理委員会担当者と共に、初めての総選挙に向けて現地で主権者教育を普及することが私の任務です。
60以上もの民族・言語が共存し、領土も広く、国民の8割が農村部に住む同国は、生活・通信インフラが整っていないため、いかに包摂的かつ正確に情報を伝えていくかが課題。試行錯誤を重ねながら、計画を立てています。

南スーダンの職場の仲間たちと
協力隊などを経てタンザニアへ
カナダの大学で人類学を専攻しました。アフリカに興味を持ち、タンザニアにあるマサイ族の村でのフィールドワークに参加し、いかに環境と共存しながら開発を進めるかを考える調査を行いました。卒業後に一度民間企業で勤務し、その後、JICA海外協力隊員としてマラウイヘ。コミュニティ開発に従事する中で感じた疑問への理解を深めたいという思いから、英国の大学院で開発人類学を学びました。
専門調査員を志したのは、イギリス留学中に知人が教えてくれたのがきっかけです。東アフリカに戻りたいという思いからタンザニアを第一希望にし、それが叶い3年間滞在しました。

南スーダン ジュバの丘から眺めた景色
着実なステップアップで夢を実現
大使館での業務を通して、現場重視の協力隊とは対照的にマクロな視点で政策や経済を見ることができ、政府高官や民間企業、国際機関やNGOなどの方々からいろいろな知見を教えていただきました。現地の英字新聞3紙を毎日読み込み、入念な情報収集をした経験は現在の仕事に役立っています。
このように、海外協力隊からスタートし、大学院進学、在外公館、JICA企画調査員・専門家とステップアップしていくことで、やりたい仕事を実現できる道もあります。今後は、人類学の視点からガバナンス系の学びも深めたいので、博士課程に進むことも視野に入れています。平和構築や紛争後の復興について、現場体験を元に考えて行きたいです。
『国際協力キャリアガイド2024-25』より転載